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東灘からポタリング

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ポケロケ・ブロ・マドン、3台の愛車でどこかに出かけた時の記録など

小田晋

先日他界した精神病理学者。
スルーするつもりでいたが、本字発売の週刊新潮が「特集」で訃報を扱っているのを見て、感化されて少しコメント。
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見出しにもある様に「人権派弁護士」が存在するように、うちの業界にも「人権派・社会派精神科医」は確実に存在していた。彼らによって曲げられかけた有名裁判には近年でも「麻原高裁判決」や「光市母子事件」などもあろうが、これらが結果真っ当な落としどころとなった背景にも、いわば土俵の外から批判をしていたこの先生の影響力も多少はあったのではと思う。
弁護士が所詮「三百代言」でクライエントの利益に従ってどうとでも言い出す輩であると良識ある世間で目されているのと違って、曲がりなりにも「科学」の背景があるとされる我々の業界で、ましてや究極の判断であろう刑事裁判の場で、こうした人権派が温情精神鑑定を出してくることに対して、批判をしてきたのがおそらく最大の功績。声の大きな左派インテリに、負けん気強く食らいついていったというところか。
良い意味での「ベタな市民感覚」が確立されていて、観念的・形而上的に過ぎる嫌いのある精神病理学をうまく解きほぐして解説してくれたペーパーが、修業時代の肥やしとなった。「ミュルンハウゼンを見たら一目散に逃げるべし」とか、読んだ時には笑ったが、今では座右の銘になっている。
学生時代に相談に行った時の印象や(実は20数年前の卒年に進路相談に筑波まで行った時がありました、はい)学会での発言時のご様子からはシャイで視線も合わずすのくせもの凄い早口で吃音気味、東大コンプレックスに代表される劣等コンプレックスも相当なモノで、分かりやすく近寄りがたい感のある印象だった。
マスコミ的には権威扱いだが、業界内部ではどちらかというとトリックスター的立ち位置と扱いだったと思う。学会で発言された時に「何を言い出すか」と期待される数少ない教授の1人で、また期待を裏切らない名口調が多かった。
晩年「たかじんの委員会」とかテレビで見た折には、あるいは健康を害されたこともあってか、脂っ気が抜けて良い意味でのボケ味が出てこられたなと思っていた。

ご冥福をお祈りします、本当に微力ながらご意志を継がせて戴きます。
by ichiro82 | 2013-05-16 20:01 | 雑感

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